ショート小説 ユリ 3
そんななか急展開したのは私が祖父母のお家にお泊まりしに行った日だった。鍵も預かっているため、いつも通り自分で鍵を開け、「お邪魔します」とおうちに入った。いつもならすぐにいらっしゃいと出迎えてくれるのに声が小さかったのか返事がない。耳を澄ますと2人の会話が聞こえていた。
「김수현 名前が同じだけかも知れないけど
もし彼だったら何故 ゆりと同じ顔をした子を育ててたのかしら。」
「今 みなみは彼と一緒にいるんだろ?ワシには何がどうなっているのか」
「ゆりは必死になってみなみを探そうとしている姿を見ると もう真実を伝えた方がいいんじゃないかと思って」
「よさんか!みなみはゆりを置いて男のいる韓国に行ったんだぞ!そのことを知った方がゆりが可哀想だろ!!」
居ても立ってもいられず、私はリビングの扉を開けた。
「おじいちゃん、おばあちゃん どういうこと?」
「ゆり。。!?」
「なんだ。来てたのか、来ていたなら挨拶ぐらいしなさい!行儀が悪いぞ!」
「お邪魔しますって言ったわよ!!そんなことよりはぐらかさないで。お母さんが韓国にいるってホント?2人はお母さんの居場所を知ってるの?」
「ワシらは何も知らん!この話はもう終わりだ!」
「おじいさん。もうよしましょ。ゆりもみなみも可哀想よ。私たちが最初から反対しなければゆりはみなみだけでなく父親とともに暮らせてたのかも知れないんだもの。ゆり ちょっと待ってね」
「ばぁさん!!!」
そう言って祖父の静止を振り切り、祖母はリビングのカウンターの引き出しから手紙を一枚取り出した
「これはみなみがいなくなった後に届いた みなみからの手紙よ。」
「ここにみなみが今いる家の住所が書いてあるの。今みなみはここに居るわ。きっとゆりのお父さんと一緒にいるんだと思う。あとはゆりの好きなように行動しなさい」
そういって祖母は 手紙の封筒を渡してきた。
「おばあちゃん。わたしお母さんに会いたい。会ってどうしてるのか、これからどうするつもりなのか聞いて、今後のどう生活していくのかきちんと決めたい」
そういうと 祖母は大きく頷いた。
家に帰り早速유리に連絡した。
「お母さんの居場所がわかった。韓国にいるって。」
「えっ韓国に!?なんで? それより なんで韓国にいるってわかったの?」
「お母さんがいなくなった後におじいちゃんたちには手紙が送ってたみたいなの。彼に会いに韓国にいくから 私のことをよろしくって。そこに 大邱市の住所がかいてあった。祖父母曰く、そこで私の父親と一緒にいるんじゃないかって」
「居場所がわかって ゆり、どうするの?」
「会いにいくよ。会いに行って、どうして突然消えたのか、これからどうしてくつもりなのか聞きたい。これから私自身どうするかも考えなきゃいけないだろうし。유리 ついてきてくれる?」
「もちろん!」
そして 次の連休に韓国へ行くことを決めた。